飛龍型は、完全に飛庄のオリジナルの剪定鋏です。飛庄の三代目、飛塚靖仁さんが独自に考案しました。この世の中のほぼすべての鋏は刃と刃が点で交差するところで擦り合い、切断能力を生み出しています。しかし、この飛龍型は刃と刃が擦れ合いません。ほんの少しの抵抗ですが、丸一日の剪定作業で積み重なると大きな疲労になります。飛龍型は最適に焼き入れを施したYCS-3鋼の刃を鏡面はまぐり刃にすることで切断能力を生み出し、擦れ合わない設計からスムーズに切り進むとともに、各所にグリスやバネを効果的に配することにより、圧倒的な切れ味と、疲れにくさを創出しています。
※飛龍型と形状が似ているため、価格差から飛龍型は飛鳥型の上位グレードですか?と質問されますが、まったく異なる鋏です。飛鳥型は青森に端を発するリンゴ剪定鋏をルーツにしています。飛龍型はそもそもの鋏の概念を覆す構造をしています。
※αは持ち手の形状が異なる製品です。刃や構造はノーマル型とまったく同じです。
一般的に鋏の切れ味を決定付けるのは、刃の硬度と研ぎです。飛龍型は、切れる刃を追求した剪定鋏です。その切れる刃の抵抗を極限にまで減らす構造により、さらに切れ味良く疲れにくくなっています。枝を断ち落とした時の衝撃は、ハンドルの中間に取り付けられているバネにより吸収。次の剪定動作にスムーズに入れるようになっています。半日以上の剪定でお使いになれば、飛龍の圧倒的な性能に驚かれることでしょう。
鉛バスによる焼き入れのメリットはふたつ。脱炭を減らせるため鋼材の硬度を下げることなく焼き入れができます。また、温度管理が可能なため、常に一定温度での焼き入れが可能。安定して高品質な刃を生産しています。
飛庄は剪定鋏鍛冶としては4代、刃物鍛治としては10代続く、山形の老舗鍛冶屋です。山形県は現在まで続く、日本を代表するフルーツの生産地。飛庄の初代は果樹園や養蚕に使う鋏を生産していましたが、切れ味の良さから本職の庭師にも使われるようになっていきました。独自の熱処理と光沢技術は代を重ねるごとに改良が加えられ、現当主の飛塚大貴さんのモノづくりのモットーは、「質実剛健であること」です。
飛龍型(左/右) | 飛龍α型 | |
全長 | 190mm | 190mm |
刃の長さ ※1 | 55 mm | 55 mm |
重量 | 235g | 235g |
構造 | 全鋼 | 全鋼 |
刃の材質 | YCS-3 | YCS-3 |
持ち手の材質 ※2 | YCS-3 | YCS-3 |
※手作りの製品のため、多少の誤差はございます。ご了承ください。
※1 刃先からボルトの中心までの長さです。
※2 全鋼製品は刃と持ち手が一体構造なので、それぞれ同じ材質になります。